庭木の根は正常だと、土壌の中に斜めに入っていき、地中に広く広がります。理由は、庭木の地上部を支えるためと、土中の広い面積の養水分を吸収するため、そして、地表が乾燥しても、土中深くは水分があるので、乾燥状態にも耐えるためです。
ゆえに、正常な庭木は土壌の表面を這うような根は現れません。では、なぜ地表を根が張るような状態がうまれるのでしょうか。
出雲市、松江市、大田市の造成地ではよく見られるこの状態はの原因と対策の必要性を説明しましょう。
根に必要なものが得られない
庭木の根は本来であれば土中に向けて根を伸ばします。しかし、それができない場合は仕方なく地表に根を伸ばさざるを得ない場合があります。
それは土壌が固くて、酸素が欠乏している時、もしくは土壌が常に停滞した水があり、土中が腐ってしまって酸素欠乏している時です。
いずれも、土壌に酸素が欠乏すると、酸素を求めて、地表に根を伸ばすのです。
庭木の根は呼吸をしているので、土中には酸素が必要です。根は生きるために、土中に酸素がなければ、地表近くに酸素を求めるのです。
それはそれで何とか酸素を得ることができれば成長できます。しかし、地表は灼熱の夏場の乾燥が続くとすぐに水分が不足してしまいます。よって、乾燥害にあって枝葉が枯れやすい体質になります。そうなると、水分不足にならないようにするために、夏場は常に水を灌水する必要があります。それはメンテナンスの負担が大きいですね。
森の中に入ると、樹木の根は地表には出ていません。そして、乾燥害に合うこともほとんどありません。だれも、水まきもしません。森林の樹木はホクホクの酸素の沢山含まれた樹木のお陰で、深く深くに根を伸ばすことができるので、地表が例え乾燥しても土中から水分を吸い上げることができるのです。
地表の根を放っておくとどうなる
地表に伸びた根をそのままにしておくと、どうなるでしょうか。上述したように乾燥状態が続くと枝葉が枯れやすくなります。その他にも考えられる影響を説明します。
根が地表面に伸びていても、幹は上へ上へ伸びていきます。そして、葉を茂らせて、太陽を求めたより大きく生長して行きます。そうすると地上部の重さがどんどん増えて、風当たりもきつくなります。それでも、根が十分に地中に張り巡らされていれば、地上部を支えるのに十分です。
しかし、根が地表だけだと、大きく茂った地上部を支える力は非常に小さくなり強風や台風の時には簡単に倒れてしまう恐れがあります。
斜面の竹林が地崩れを起こしやすいのと同様に、地表面だけの根はグリップ力が弱いのです。
よって、地表面を張っている状態は、地上部をあまり大きくしないように剪定でコントロールしておく必要があるでしょう
地表を這う根の対策はどうする
地表を根が這う原因が、土中の酸素欠乏ですので、土中に酸素を供給する仕組みを作れば、徐々に土中に根を伸ばしていきます。
その方法としては、土壌改良と施肥メンテナンスです。土壌改良は、既存の土壌を根を気づつけずに部分的に土壌を入れ替える方法です。壺状改良と呼ぶ壺状の穴を開ける方法と、環状改良と呼ぶ庭木を中心に環状に広がるように掘削する方法があります。いずれも、極力既存の根を傷つけないようにするための方法です。
改良に使う土壌は、墨や砂などが使われますが、最も効果の高いのは珪藻土焼成粒と呼ばれる、昔の七輪に使われていた土壌を高熱で焼いてセラミック化したものです。
施肥メンテナンスは、冬期に油粕と腐葉土を混ぜた有機肥料を根の周りに施す方法です。毎年続けることで、徐々に土壌全体が改良されます。この場合は、一度に沢山の穴を掘るわけではないので、根を多少切断しても気にすることはありません。むしろ、古い根を断根して、新しい根を出す更新作業をすることで、より樹勢を活性化することができます。
根が地表を這うのは、正常に生長できない状況での生き残り戦略です。本当は根を地中へ向けて伸ばしたいのです。寒肥のメンテナンスをすることで、徐々に正常の状態に導くことができます。剪定同様に寒肥のメンテナンスも大切な管理作業として昔から続けられている理由もそこにあります。
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