カイズカイブキは針葉樹の庭木で、全国的に非常にたくさん使われています。特に生垣や仕立物として、美しく刈り込みされることが多いです。
昭和の高度経済成長期には、住宅や工場の周囲あちこちに植えられて、産地である兵庫県宝塚市や大阪府池田市の生産者さんは大盛況で、同地域には御殿が建ち並ぶくらいでした。
現在でも、松江市や大田市、雲南市でも住宅の庭木としてあちこちで見ることができます。
このように重宝されたカイズカイブキですが、扱いに気をつけなければいけない特徴があります。
質問にも関係しているので、カイズカの特徴について見ていきましょう。
特徴①太陽光が生死をわける
少し大げさな言い方でしたが、太陽の光が一定量あたらないと、枯れてしまうという意味です。
カイズカイブキは、針葉の小さな細かい葉がたくさん集まって樹姿を形成しています。外から見ていても全く枝が見えないくらいぎっしりと葉がついています。それだけ、たくさんの葉で太陽光を浴びて、光合成を活発にしているわけですが、逆にいうと、内側は葉が太陽を遮って真っ暗です。
結果的に、放っておくと、内側の葉は太陽の光を得ることができなくて、枯れてしまい、枝も枯れてしまいます。
これが、カイズカにとっての新陳代謝なのですね。
このような性質から、剪定を怠り大きくなってしまうと、内側には葉がなくなってしまいます。その結果、大きく切り戻したり、樹高を落とすような強剪定をすると、内側に葉がなく穴が空いてしまうわけです。
特徴②幹からは葉芽が出にくい
針葉樹にありがちな特徴ですが、幹や枝から突然葉がでることが少ないのです。例えば、クロマツに至っては、まず幹や枝から葉芽が出ることはありません。カイズカイブキはそこまでではありませんが、出にくいのは同じです。
よって、一度穴が空いてしまうと、その穴を塞ぐほどの葉が出るまでには長い時間がかかってしまいます。いずれは茂りますが、時間がかかんるのです。
その間どうしても見た目が悪くなってしまうのが問題ですね。
対策としては、まず、定期的に剪定を行うことです。葉があるところで切れば、すぐに葉が伸びてくれます。枝まで切り戻さなくても形が整うように、早め早めに剪定するのが良いでしょう。そうなると年に2回~3回は剪定が必要になります。少し手間がかかりますが、綺麗を保つには必要な作業です。
また、その際に、枯枝や不要な葉は落として、なるべく太陽が中まで差し込むように意識しましょう。特に生垣などは反対側に光が差し込まなければ、やはり葉が枯れてしまいます。上部に行くほど少し薄くなるように剪定しておけば、太陽光が下部まで差し込んで、全体が美しく茂ってくれます。
特徴③見たことのない枝が発生する
非常に不思議な特徴ですが、強く切ったりすると突然見たことのない、カイズカイブキとは全く違う葉が出てくることが度々あります。
カイズカイブキの葉はやわらかくて触っても痛くありません。しかし、突然出てきた葉は、見るからに痛そうなトゲトゲした葉です。しかも、色が水色で、深緑のカイズカとは似ても似つかない姿です。
この異様な葉は、業界では鬼葉とか杉葉とか呼ばれています。
この葉の発生原因は、カイズカイブキが園芸品種改良をして現在の形になったのですが、強いストレスを与えると、もともとの改良前の姿、つまり先祖の姿に戻るようです。
一度、鬼葉がでると、もうカイズカイブキ本来の葉には戻りません。見た目も悪いし、剪定作業の時に痛いため、厄介者です。見つけると枝から切り落とすことがいいですね。ちなみに、放っておくと、大部分が鬼葉になってしまいます。
以上のような、カイズカイブキには独特の特徴があります。それゆえ、質問の回答としては、強く切っても時間はかかるけども、葉は茂ってきます。ただし、鬼葉が発生する可能性も高くなりますので、十分に特徴を理解してメンテナンスを行うのが良いでしょう。
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