樹木医制度は農林水産省の民間技能審査事業認定制度の適用を受け、推奨すべき資格として農林水産大臣の認定事業です。
樹木医は樹木に携わる7年以上の経験年数を経た方が16科目から成る1次試験に合格する必要があります。1次試験を通過したら、つくば市で開催される2週間の合宿に参加し、ここでも試験が行われます。両方に合格するとやっと樹木医として活動できます。
合格率は20%程度の難関資格です。現在樹木は3000人程度です。
令和5年度から経験年数が7年から5年に短縮されるので、チャレンジする機会が広がりますね。
それでは、樹木医が専門としている業務を見ていきましょう。
樹勢診断
樹木医は読んで字のごとく、樹木のお医者さんとしての専門家です。よって、樹木が元気に育っているかどうかを診断する力が必要です。
樹木はいつまでも生きれるわけでなく、意外と病気になったり、環境変化により衰退してしまうデリケートな部分も多分に持っています。
大切な樹木や貴重な樹木が衰退することは、文化的歴史的価値を損失してしまうことになりかねません。また、沿岸のクロマツが一斉に枯れ始めるなど、環境破壊や景観破壊が進むのを見過ごすわけにもいきません。
このように樹木樹勢が正常かどうか、また元気がない場合は何故元気がないのかについて、診断することが樹木医の大事な仕事です。
診断したら処方箋を作ります。どのように樹勢を回復するかの計画書です。樹木は1夜にして元気になるような簡単なものではありません。時間をかけて徐々に回復していきます。何年もかけて徐々に元気にしていく長期的な計画も少なくありません。
内科的処置と外科手術
樹木の樹勢を回復させるには、内科的処置として、土壌を改良したり、養分を与えるような方法が一つです。また外科的手術として、腐った材を取り除いたり、菌の除去などを行います。
まるで人間の治療のようですが、まさにその通りで、内科的外科的手法を適切に行う事で、樹木の樹勢を回復する技術を要しています。
また、樹木の枯死の状態を見極めて、判断をすることも求められます。
普及活動
全国の樹木医は各地域で樹木医会に所属して、樹木保護の普及活動をしています。
ボランティアとして古木の治療や剪定を市民の皆さんと一緒に行っています。
また、樹木医の豊富な知識を一般の方に提供する機会を作っています。樹木医試験に取り組みたい方への指導も行っています。
このように、樹木の健全なる生育のために、樹木医は全国各地で普及活動を行っています。
地域の専門的役割
樹木医は樹木の分野での専門性の高い資格者です。よって、地域での様々な専門分野の役割を担っています。
例えば、島根県には景観アドバイザーという専門分野がありますが、樹木医も在籍しています。また、農林大学校の講師として指導することもあります。
地域によって様々ですが、樹木の専門家としての意見を求められる場も多くあります。
樹木医は樹木に関することはもちろんの事、景観や環境に関することまで幅広い分野で活躍しています。樹木医の仕事は今後ますます重要になっていきます。地球環境をはじめSDGsには欠かせない専門知識を持っているからです。日本では、まだまだ数の少ない樹木医ですが、たくさんの方に目指していただき、地球の未来を守っていっていただきたいです。