雨が降るとすぐに水溜りが・・・そしていつまでも水溜りが・・・
新築して快適なはずが、庭の排水が悪くて問題が生じる事例がとても増えています。その原因と対策方法は別のブログ「水はけの悪い庭の末路!その劇的な改善秘策とは」で解説していますが、その中でもお庭の排水対策に非常に有効な暗渠排水工法について解説します。
暗渠排水工法とは「あんきょはいすいこうほう」と読みますが、あまり聞きなれない方も多いと思います。土木の専門用語ですから当然です。排水の工法というのは分かりますが、暗渠とはどういう意味でしょうか。暗渠とは地中に埋設された河川や水路のように、溝という意味である渠が、地表に見えない状態ということで暗という漢字で表現されています。逆に蓋がなく地表に見えているような用水路のような溝の事を開渠と言います。なんとなく漢字の使い方で意味が伝わってきますね。
それでは、具体的に暗渠排水はどんな方法でどんな効果が期待できるのかについて見ていきましょう。
暗渠排水工法の特長
雨水の排水計画として暗渠排水工法と表面排水とを比較してみましょう。表面排水は、地表面に勾配をつけることにより水を集めて排水する方法です。これに対して、暗渠排水は、地表ではなく地中に染み込んだ水を集めて排水する方法となります。2つの排水方法を比較すると次のような特長があります。
①表面排水は、広面積を早く排水できる
②暗渠排水は、狭面積をゆっくり排水できる
お庭の排水計画にはこの2つの方法をうまく組み合わせて排水する必要があります。まずは①表面排水を検討し、表面排水で十分な排水が見込めない場合に、②暗渠排水を追加で計画する順番となります。
それでは、次に暗渠排水工法の手順を見ていきましょう。
暗渠排水工法の手順
暗渠排水は、排水不良な土中に暗渠菅を埋設することで、地中の排水を良好にします。暗渠排水は地中に浸透した水をある程度時間をかけて排水するものです。よって、集中豪雨を短時間で排水することは不可能です。目指すは24時間以内の排水です。このことを前提に計画します。暗渠排水の手順は以下の通りです。
【計画手順】
①排水先を決める
②暗渠排水管埋設ルートを決める
③排水面積に応じた暗渠菅の大きさを決める
【施工手順】
①床掘りし、残土は撤去する
②床に砕石を敷きならす
③暗渠菅を設置する(排水先へ接続)
④暗渠菅を砕石で埋め戻す
⑤砕石天端に透水シートを敷設する
⑥地表面を化粧土で整地する
【計画注意点】
・暗渠排水管は排水先に向けて水勾配があることが望ましいですが、逆勾配にならなければフラットであっても排水効果を得ることが出来ます。
・面積が広い場合は、一度に多くの水が集まるため、対応できるサイズを選ぶ必要があります。
【施工注意点】
排水を妨げる以下の点に注意を払う必要があります。
○詰まりがないか
○通気ができているか
○透水性不良な土で覆っていないか
暗渠排水工法の構造
暗渠排水工法は、土質や規模によりサイズは異なりますが、構造としては大方図のようになっています。この構造の利点は、土中に浸透した水が暗渠管に集まるように作られている点です。重要なのは、暗渠管の上部にある埋戻し混合土の透水性の度合です。この透水層が排水不良な例えば粘土のような土質だと、土中の水が暗渠管へ到達する時間が遅くなり、排水能力が格段に落ちてしまいます。よって、透水層の土質は透水性を高める工夫が必要です。
暗渠排水工法の計画
暗渠排水工法の計画にあたっては、どの面積の排水を計画するのかによって、暗渠管の埋設本数が変わってきます。敷地内の一部の排水を目的にする場合は、部分排水によりその周辺の排水を良好にします。これはあくまでも一部であるため、広い面積での排水は対応できません。暗渠排水管及び掘削のサイズは、排水する面積に応じて変更します。
敷地内全面に対して排水をする場合は、暗渠管を接続することで、全体の排水を良好にします。面積に応じて必要な暗渠管の距離が決まります。この場合、暗渠排水管は主排水を枝排水よりも太くする必要がある。
暗渠排水管の仕様と排水管埋設の距離計算方法については、一例として挙げておきます。この例は一般的な住宅の庭での排水計画に使用できるものとして挙げています。競技場や畑地などの排水計画には向きませんのでご注意ください。
暗渠排水は、表面排水では排水しきれない浸透水を排水する工法として様々な場面で使用されています。しかし、一般的には上から見てもわからないことから、工法自体を知られていないことが多いでしょう。実は松江市や出雲市でも暗渠排水が住宅地で使われることも多くあります。しかし、DIYで簡単に設置できるものではないことから、専門の業者に依頼して設置するケースがほとんどです。ただし、このような工法があるということ知っておくと、実際に排水不良に悩んだ時に解決策として安心できます。また、専門業者との打ち合わせもスムーズになるでしょう。
外構/エクステリアについて詳しくは【Takezo・ファーム】までお問い合わせください。
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