大切なクロマツに異変が・・・・。すぐに診てほしい。もしかして、マツクイムシに・・・。
そこで、いって診るとハダニの被害であることも少なくありません。ハダニの被害であればすぐに枯れることはありませんので、適切な対処をしておけば安心です。
しかし、ハダニは放っておくと被害が拡大して、見た目だけでなく樹勢も弱ってしまいます。樹勢が弱るとマツクイムシの被害にある可能性が高まります。
そこで、ハダニについて解説していきましょう。
ハダニってどんな害虫?
まず、ハダニについて少しご説明します。ハダニは非常に小さな虫で、体長は約0.5mm程度です。葉の裏に付着し、そこから樹液を吸い取ります。ハダニの色は、赤や緑、黄色などさまざまですが、一般的にクロマツにつくハダニは赤色をしていることが多いです。クロマツなどのマツ類につくハダニは、トドマツノハダニという名前がついています。
クロマツにつくハダニの症状とは?
ハダニがクロマツに発生すると、次のような症状が現れます。
1. 葉の色が変わる
ハダニが吸汁を繰り返すと、葉の緑が徐々に薄れ、黄色っぽく変色していきます。特に日光がよく当たる場所にある葉から色が変わることが多く、最終的には全体がくすんだ黄色になります。
2. 葉に白っぽい斑点が現れる
ハダニが樹液を吸うと、葉に小さな白い斑点が現れることがあります。これは、ハダニが一度吸汁した後の傷跡です。この斑点が増えていくと、葉全体がぼんやりと白っぽく見えるようになります。
3. 葉が枯れて落ちる
ハダニが長期間付着していると、クロマツの葉は十分な栄養を吸収できなくなり、次第に弱っていきます。その結果、葉が乾燥して枯れ、最終的には落葉してしまうこともあります。
ハダニが発生する原因は?
乾燥した環境
ハダニは湿気が少なく乾燥した環境を好みます。夏の暑い時期にはハダニが発生しやすくなります。
風通しが悪い
風通しが悪いと、ハダニが繁殖しやすくなります。枝が密集しすぎていると風通しが悪くなり、ハダニが発生しやすくなるため注意が必要です。
クロマツのハダニ駆除方法
ハダニが発生した場合の効果的な駆除方法について見ていきましょう。駆除方法は「物理的な駆除」「化学的な駆除」「自然な駆除」の3つに分けてご紹介します。
1. 物理的な駆除
水で洗い流す
ハダニは葉の裏側に付着していますので、水を強めに噴射して洗い流す方法が効果的です。ホースや噴霧器を使い、葉の裏側にしっかりと水をかけてあげましょう。この方法は簡単で、特別な薬剤を使わないため安全です。
葉の剪定
ハダニがついている葉や枝を剪定することで、被害を抑えることができます。特に被害が広がっている葉を取り除くことで、周囲へのハダニの拡散を防ぎます。
2. 化学的な駆除
殺ダニ剤の使用
市販のハダニ専用の殺虫剤を使う方法もあります。殺虫剤には即効性があるため、広範囲にハダニが発生している場合に効果的です。ただし、適切な濃度で希釈し、使用頻度を守ることが大切です。
よく間違われますが、ダニ専用の殺虫剤は、通常の殺虫剤ではありません。ダニ専用なので、殺ダニ剤と呼ばれます。ダニ専用の薬剤を購入しましょう。
石鹸水やアルコール水
市販の殺虫剤を使いたくない場合は、石鹸水やアルコール水を使う方法もあります。石鹸水は家庭用の液体石鹸を薄めたものをスプレーに入れて葉に吹きかける方法です。アルコール水も同様に薄めて使いますが、強すぎると葉を傷めるので注意が必要です。
3. 自然な駆除
天敵を利用する
ハダニには天敵がいます。例えば、テントウムシやヒメコバチがハダニを食べてくれるため、庭にこれらの天敵が住み着く環境を整えると自然とハダニの数を減らすことができます。テントウムシは見た目も可愛らしいので、庭にいると目の保養にもなります。
ハダニ発生を予防するためには?
こまめな水やり
ハダニは乾燥を好むため、こまめに水を与えて乾燥を防ぐことが大切です。特に夏場は乾燥しやすいため、朝晩の水やりを意識しましょう。
定期的な剪定
クロマツが密集しすぎないように、枝や葉を定期的に剪定することで風通しを良くします。こうすることで湿気がこもりにくく、ハダニが住み着くリスクを減らすことができます。
葉裏のチェックを習慣にする
ハダニは葉の裏に潜んでいることが多いため、定期的に葉裏を確認し、ハダニがいないかチェックしましょう。早めに発見することで、駆除もしやすくなります。
まとめ
クロマツのハダニ対策について、症状、原因、駆除方法、そして予防方法をご紹介しました。ハダニはクロマツに大きな影響を及ぼす害虫ですが、適切な管理と早期発見で十分に対処することができます。庭のクロマツを美しく保つために、ぜひ今回ご紹介した方法を参考にしてみてください!
そういえば、隣りのクロマツも同じ症状になっている・・・。ハダニの被害は非常におおく、最初はわずかな色の変化のため多くは見逃してしまいますが、ひどくなってくると非常に見た目が悪くなります。多くのクロマツがハダニの被害にあっているため、少し気にしてみるとすぐに見つけることができます。
クロマツの多い松江市や出雲市でも、毎年たくさんの被害が出ています。天候の関係もあるでしょうし、あちこちで増えたダニが風にのって、周囲に拡散していくのもあるでしょう。だからこそ、ハダニの存在を知っておいて、対処方法を熟知しておくことは、被害拡大防止の意味でも重要となるでしょう。
【参考資料】
出雲市農林水産部森林政策課HP:https://www.matsukui-izumo.jp/diagnose/02_ct_001_03.html
花木・鑑賞緑化樹木の病害虫診断図鑑 第Ⅱ巻 害虫編 竹内浩二 近岡一郎 堀江博道一般財団法人農林産業研究所 2020.9.11
庭木の維持管理について詳しくは【サッパリーズ】までお問い合わせください。
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