近年、全国的にもクロマツの葉色の異変が非常に多くなってきています。特に島根県全域が被害が多いようです。東部の大田市、雲南市、出雲市、松江市においても、いたるところのクロマツが同じような症状に見舞わられているのを目撃します。
では、クロマツの葉が茶色くなった時、考えられる原因を見てみましょう。
菌がついてしまって、次々と増えている場合
いくつかの種類がありますが、葉枯れ病という菌が葉について、葉の中に住み着いています。
菌は風にのって、ずいぶん遠くまで運ばれてしまうので、ある意味防ぎようがありません。葉につくと、葉先から徐々に黄色くなり、さらには茶色く変色して落葉します。
胞子を飛ばして次々と繁殖していくため、徐々に茶色が広がっていきます。菌の可能性だと判断した時には、銅水和剤という殺菌剤を2週間程度あけて2度散布し、これ以上広がらないように対処します。
その際に、落葉した葉からも胞子が飛びますので、落葉した葉は集めて焼却処分します。同時に地面にも薬剤散布しておきましょう。
なお、一度茶色く変色した葉は、殺菌剤散布しても緑に戻ることはありません。あくまでも健全な葉や新しい芽に菌が移らないようにするための散布です。
よって、殺菌剤が効いているかを確認するためにも、散布前に現状を写真に収めておきましょう。そして、散布後に被害が広がっているようならば、再度散布しましょう。
松くい虫の被害にあった場合
松くい虫とは、松を食う虫がいるのではないかと思われていたので、そのような名前になってしまいましたが、実際はそのような虫ではありません。
分かっているのは、カミキリムシが1mm程度の小さな線虫という虫を運びながら、松の枝にかじりつくと、その傷から線虫が入り込んでいきます。
線虫が松の体に入ると、突然とどんどん増殖していって、ひと夏で体中の管に線虫が存在し、夏の終わりに枯れてしまうという、なんとも恐ろしい虫です。
そもそも、松が枯れると、中で増殖した線虫も死んでしまうわけなんです。
自身が危ういことを何故するのかと思うのですが、実は、もともとアメリカにいた虫なんです。アメリカの松は線虫と共生しているので、枯れないのです。たまたま輸入された材木にいたために日本に広がりましたが、相性がわるかったのでしょう、日本の松は枯れてしまいます。
厄介なのは、今のところ、この線虫が入ってしまったら、松を助けることができないということです。だから、線虫が入らないように防除する必要があります。
線虫は一人では来ないので、媒介するカミキリムシが枝をかじらないようにしなければ防除になりませんね。
根が酸欠で苦しい~場合
枝先がぽつぽつと茶色くなることがおおいですが、根に酸素が不足しているために起こることがあります。
何十年もそんなことなかったし、土もそのままなのにどうしてよ?と思われる方も多いですが、土の中は徐々に酸素がなくなっているのです。
理由は、雨降って地固まるといわれるように、地面が徐々に固くなっていること。そして、根は生長しています。根が伸びればそれだけ土の中の隙間は少なくなります。隙間が少なくなると酸素も少なくなるということです。
もちろん、もともとの土質に非常に左右されます。砂土であれば酸欠の心配はほとんどありませんが、粘土や真砂土の場合は徐々に酸欠が進行していきやすいですね。
毎年の施肥をされている場合は、その都度土が掘り起こされて空気が入るので、比較的酸欠になりにくいです。
なので、施肥をするか、数年に一度土に砂を混ぜてあげるなどの土壌のメンテナンスをすることで酸欠を回避できます。
盆栽が3年に一度、根を掘り上げて不要な根を取り除いて、再び同じ鉢に入れる作業をするから枯れないのと同じですね。
クロマツの葉が茶色くなってきたら、正常でないというメッセージです。つまり、何かしらの対策が必要です。放っておくと元通りに戻らなくなる可能性が高いです。庭木の中でも、クロマツは幹や枝からの出芽が最も難しい木です。よって、少しでも変化があれば、なるべく早く対応することをおすすめします。
クロマツの変化に気づいたけど、具体的にどうしていいか分からないときは、近くの専門業者に相談しましょう。
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