枝や幹にコケが生えてきた・・
どんどんコケが増えてきた・・
なんだか、コケのせいで庭木が弱ってきた・・
似たようなご相談も結構多いです。特に島根県の環境が生育に適しているのでしょうか、松江市、出雲市、大田市、雲南市でのご相談が非常に多いです。
木の幹や枝についているのは、実はコケではないことが多いです。写真はウメノキゴケという名前がついているけど、コケではなくて地衣類と呼ばれます。
では、地衣類は庭木にとって悪い病気のようなものでしょうか。そうならば、早く取り除いた方がいいでしょうか。
地衣類の特徴から見ていきましょう。
地衣類は悪者か
コケと地衣類は似てますが、全く違う生活をしています。コケは光合成をして生長し、胞子により繁殖します。一方地衣類は菌類と藻類が共生している状態です。藻類が光合成した養分を利用して菌類の生育が保たれるという不思議な生態です。
コケは緑色のものが多く、地被類は青白いものが多いので見分けることができます。写真はコケと地衣類が入り混じっていますが、色が違いますね。
ということで、地衣類が枝や幹についていても、庭木から養分を吸収しているのではないので、庭木に対して有害となるわけではありません。
実際、地衣類は木の幹や枝だけでなく、庭石や瓦にも見ることができます。つまり、栄養源が庭木ではないから、そのようなところでも生きれるのですね。
地衣類が珍重されている
地衣類があることで、その庭木は非常に古さを感じます。実際地衣類の生長は非常に遅く、長い年月がかかります。あまりにも遅いので、気づいた時には、いつのまに~と驚かれる方もいいのです。
このような特長から、盆栽の世界では、地衣類がついている方がより重厚感と古さを演出することから、地衣類の存在は珍重されています。
とはいえ、庭木や景石に増え続けた地衣類が目立ってくると、ちょっと心配にもなってきます。庭木に影響がないとしても、これ以上増えるのはやだし、できれば駆除したいと思う方も多いでしょう。
地衣類の駆除方法
地衣類の量をコントロールして、庭の美しさを保つために、地衣類の駆除の方法を説明します。駆除の方法は物理的な駆除と薬剤による駆除があります。
物理的な駆除ですが、これは地衣類をブラシやヘラなどでゴシゴシと削り取る方法です。これなら、残したいところと駆除したいところを見極めて行えるので、地衣類の量をコントロールしやすいですね。ただし、削り取った後にしばらくは発生してほしくないので、その後に薬剤を塗布しておくと長持ちします。
次に薬剤による駆除ですが、これは地衣類に直接薬剤を散布して駆除するものです。地衣類が菌類と藻類の共生によって生きているので、殺菌剤を散布して菌類を駆除すれば駆除できます。殺菌剤もいろいろありますが、最近では地衣類駆除用の薬剤が売られているので、これを使用します。また、銅水和剤といって殺菌効果の高い銅成分を含む薬剤も使えます。そのほか、石灰と硫黄を混ぜた石灰硫黄合剤も有効です。
ただし、薬剤による注意点としては、石灰硫黄合剤のように薬剤がアルカリ性の強い場合、近くにあるコケが傷んでしまいます。コケを守りたい場合は、コケへの影響を考えて薬剤を選択しましょう。
ウメノキゴケを代表とする地衣類は、排気ガスに弱く、環境が良いとこでないと生育できません。そのため、環境評価の指標の一つとされています。庭木に地衣類が増えるということは、それだけ環境が良いということですね。それゆえ、島根県は地衣類が多いのでしょう。
地衣類の生態はあまりなじみがないので、コケとの違いも分かりづらいところがあります。悩んだら専門家に相談してみてましょう。
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