庭木の根元に開いた穴は、放っておいて大丈夫ですか?

 この穴は虫が入った跡ですね。この虫は庭木にとって非常に問題のある虫です。タマムシ色の言葉のもとになったタマムシやゾウウシ、カミキリムシなど、穴の原因となる虫はいくつかいます。

 まるで鉄砲玉が貫いたような穴であることから、原因となる虫の事をテッポウムシと呼んでいます。

 テッポウムシは庭木をかなり傷めます。多いものだと数年で10か所以上穴が開いている庭木もあります。

 最終的には、この穴が原因で木が枯れます。枯れるだけでなく、突然ボキッと折れて倒れることもあります。
倒木までを順を追って説明しましょう。

幹の根元にテッポウムシに開けられた穴が開いている様子
幹の根元にテッポウムシに開けられた穴が開いている様子

春頃成虫が庭木に傷をつけて卵を産み付ける

 庭木に穴を開けて卵を産み付けることで、卵から孵化した幼虫は敵から守られているうえに、すぐに周囲にある木材を食べて成長することができます。春頃になると幹の根元に穴を開ける食害が始まり、梅雨頃になるとピークを迎えます。

カミキリムシ
カミキリムシが庭木を食害

卵から幼虫になり周囲の木を食べて成長する

 卵から孵化した幼虫は1~2年をかけて庭木の中を食い荒らします。幼虫の種類によって、上方向に食い荒らしたり、下方向に食い荒らしたりと特徴があります。また、庭木の中心部を食害するものや、幹の外側に近いところを中心に食害するものも種類によって違います。材を食べると木くずを糞として排出しますので、穴からポロポロと木くずが出てきます。

テッポウムシの幼虫
テッポウムシの幼虫が材を食害している様子

食害を受けた材の周辺は、水の吸い上げができなくなる

 幹が食害を受けると、穴が開いてしまいます。幹は根から吸い上げた水が通る道管がありますが、穴が開いてしまったため、道管の水が上がらなくなります。そうなると、食害を受けた周辺は、水分が上がらなくなり、食害が広い範囲にわたると、水が上がらない範囲も大きくなります。

テッポウムシ
テッポウムシが食害している幹

水分不足で枝葉が部分的に枯れ始める

 水分が十分に上がらなくなると、枝や葉が水分不足となり、部分的に枯れ始めます。小さな木の場合は、この時点で完全に枯れてしまうこともあります。

枯葉
枝の一部が徐々に枯れ始める

翌年幼虫が再び食害する

 テッポウムシが翌年も食害を続けて成長します。成長すると食べる量も増えて食害スピードも早くなります。また、木が弱ってくると新たに卵が産み付けられる可能性が高くなります。一本の木で何匹もの幼虫が発見されることもあります。

テッポウムシの幼虫
テッポウムシの幼虫が材を食害している様子

食害された材が徐々に腐ってくる

 食害された傷は菌類によって腐朽が始まります。つまり、腐り始めます。腐ると木材としての強度はなくなっていき、ボロボロ朽ちてしまいます。しかし、これは、外側からは分かりにくく、木の内部で起こっていることもよくあります。

幹が徐々に腐ってきている様子
幹が徐々に腐ってきている様子

徐々に根元の強度が弱くなる

 腐りが広がると、当然木の強度がなくなります。揺らすとぐらぐらする状態まで強度は落ちていきます。それでも、根本を注意深く見る人は少なく、気づかれないことが多いです。
 また、菌類が増殖すると、キノコが生えてくることもあります。

根元が弱ってしまい、強度を失った危険な庭木

食害された材が徐々に腐ってくる

 最後は、突然の倒木です。弱ったところに強風が吹くと一溜りもありません。かなりの大木でも突然倒れてしまいます。倒木の原因が、テッポウムシの食害であることは非常に多くあります。それだけ、テッポウムシは放っておくと危険であると言えます。

根元が腐って突然倒木した庭木
根元が腐って突然倒木した庭木

このように庭木にとっては大敵です。特に気をつけないといけないのは、テッポウムシが入りやすい種類の庭木です。

モミジ、エゴノキ、ヤナギ、果樹が代表的です。防ぐには、薬剤によるものと物理的に破覆するものがあります。

一旦食害されていまったら、中にいる幼虫を殺虫することくらいしか対処できません。

ですので、できれば予防をした方がいいですが、被害になるまではそうは思わないのも実際です。

特に5~7月は被害が多いので、根元に注目しておきましょう。

しかし、大切な庭木は予防しておいた方がいいですね。業者さんに相談しましょう。

どんなに大木であっても枯れてしまいますので、要注意です。もし、すでに数か所の穴が開いていて、腐り始めていたら倒木の危険性があります。その時は、業者に相談して、場合によっては伐採の決断が必要です。

庭木は定期的に点検して、大きな被害にならないような対策が必要ですね。

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