施肥はなんのためにするのですか?

 庭木に施肥が必要な理由はいくつもあります。代表的な理由をこれまでの話を踏まえてご説明しましょう。ここで
は大きく分けて5つの内容でお伝えします。

➊栄養補給
➋土壌の物理的改良
❸土壌に空気を送る
❹断根による根の活性化
❺適切な根系を誘引

 それぞれについて詳しく説明していきましょう。

❶施肥の栄養補給としての役割

 森林では、木の栄養は落ち葉や死骸等を微生物が分解することで、根から養分が吸収されました。しかし、庭木では、微生物が分解して養分をつくるほどの、落ち葉も死骸もありません。よって、庭の土壌には栄養分が非常に少ない状態だということになります。

 さらに、庭木は毎年剪定して枝葉を落とします。すると、当然たくさんの切り口ができます。この切り口は人間でいう傷口です。傷口は早く塞がなくてはなりません。

 しかし、木が栄養不足であれば、傷口を塞ぐ力がありません。このように自然治癒力が栄養不足により低下し、傷口からバイ菌が入りやすい体質となってしまうことで、木は衰退していきます。

 この栄養補給を助ける方法が施肥となります。肥料を土壌に入れることで微生物を活性化させ、栄養分を作り出すことで木の自然治癒力を高める必要があるわけです。

森林に栄養を補給する落葉

❷施肥の土壌物理的改良としての役割

 土壌の物理的とは、適切な保水と排水、そして通気性のことです。つまり、森林土壌が有する好条件3つのことです。

 しかし、庭においては、森林のような土壌を保つことは困難です。そこで、施肥をすることで森林の土壌に近づける必要があります。

 施肥は、土壌中に微生物が分解しやすい餌を入れてやる行為です。よって、微生物が効率的に増加し、団粒構造が促進されます。団粒構造が促進されると、適度な隙間を土壌中に作ってくれるので、物理的な3つの条件を叶えやすくなります。

 毎年継続して施肥をすることで、土壌中の微生物を絶やすことなく、良い土壌を作り続けてくれるのです。

団粒構造をしたホクホク土壌

❸施肥の土壌に空気を送る役割

 森林の土壌は空気の隙間が多くあることで、根は酸素ができ、健全な生長ができることを説明しました。しかし、庭では落ち葉を掃除し微生物が少なく、さらに、人が歩くたびに土壌は固くなる一方です。

 そもそも、家を建設する際にはしっかりとした地盤が必要なため何度も締め固めた土地になっています。その一角に作った庭は、地盤の固いところへ無理や木を植えた状
態であることは想像がつきます。

 つまり、多くの庭の土壌は万年空気不足であることが多いのが現実です。そこで、施肥によって土壌に定期的に穴をあけることで、空気を土壌中に送ることに繋がり、そこへ根が発根することで新たな空気を得ることができ、健全な生長を保つことができるのです。

締め固められた宅地

❹施肥の断根による根の活性化としての役割

 森林のように広い面積で根が好きなだけ伸ばせる環境と庭は違います。庭では限られた面積で育っていかなければなりません。つまり、土壌中の根も限られたスペースでしか伸びることが許されないのです。

 根は新しく発根するとその先でたくさんの水分を吸収します。逆に、古くなった根は水を吸収する力がなくなります。よって、常に新し根を出し続けなければ樹体を維持することができません。

 施肥をすると土壌中に穴を掘るため、どうしてもいくらかの根を切ることになります。根を切ることは決して悪いことではありません。上記のように新しい根が新たに出すことができるからです。限られた範囲ならば、なおさら、古い根を切って、新しい根を出すスペースを空けることは根の生長を促し、たくさんの養分と水を吸収できる環境をつくることになるのです。

張り巡らされた根

❺施肥の適切な根系を誘因する役割

 森林の木は恵まれた土壌ゆえ、根は外へ広くそして、深く伸びていきます。広い面積に根を張り巡らせることは、広範囲で養分を吸収するためにも、雨水を吸収するためにも理にかなっています。

 しかし、庭は恵まれた土壌が広がっていることは稀です。植えた時の穴の範囲以上は固くて根を伸ばしたくなるような場所ではないことがほとんどです。そんな時、木の
根は無理に広がろうとはせず、近くの比較的柔らかい土壌中にたくさん根を出そうとします。まるで、植木鉢で育ている観葉植物のようにです。

 そうなると、乾燥に弱く栄養分の不足した体質となることは容易に理解できます。根の分布する状況である根系が、このように好ましくない状態にあると、木が大きくなるにつれて状況は悪くなります。

 施肥を施すことで、根を外へ外へと誘引することができます。施肥の場所を毎年少しずつずらすのも、根をより範囲に誘引して強い体質を作り直すためなのです。

土中に深く広がる根

 このように施肥には様々な役割を担っています。庭木のとって施肥は欠かせない作業なのです。毎年施肥をすることで、庭木の寿命は延び、より元気に育ってくれます。
 住む場所によって土壌の状態も全く違います。松江市や出雲市では非常に地下水の高いところもあります。雲南市や大田市には粘土質の場所もあります。よって、土質を見極めての施肥作業については、専門業者に相談することをおすすめします。
 庭木に必要な栄養素については、別のブログ「庭木にはどんな栄養分が必要ですか?」で説明していますので、是非参考にして下さい。

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