カイガラムシは、最も駆除が困難な害虫といわれる厄介者です。カイガラムシには沢山の種類がありますが、特徴は貝殻のようにジッとしていて、いつのまにかビックリするくらい増えているという共通点があります。
見つけたら手で取り除いているけど、数年後また沢山に増えていた。いったいどうやって駆除したらいいのでしょうか。そういったご相談はたくさんあります。松江市にもカイガラムシの被害にあっている庭木をよく見ます。
カイガラムシへの対策はどのようにしたらいいでしょうか。カイガラムシ被害状況と対策を見ていきましょう。
カイガラムシを放っておくとどうなる
カイガラムシは、種類にもよりますが、1匹の産卵数が5,000にものぼるといわれ、年に一度の産卵でも、数年で恐ろしい数になります。よって、1年ほど放っておくだけで、枝はカイガラムシだらけになってしまいます。
カイガラムシは、枝に糸のような口吻を突き刺して、樹液を吸います。1匹程度ならかわいいものですが、数が増えると樹液を吸い取られて、枝が枯れていきます。つまり、カイガラムシを放っておくと枝からの原因となります。
カイガラムシは樹液を吸って、排泄しますが、排泄物も樹液のような甘い液体です。カイガラムシが多くなると、枝葉のあちこちが排泄物でテカテカとてかります。そして、スス病という菌が発生し、ススを被ったように黒い粉で覆われます。
スス病で葉が黒くなると、光合成を阻害され、ますます庭木は弱っていきます。泣きっ面に蜂といったところでしょうか。その上さらに放っておくと、スス病が分厚くなり、鼻を突くような非常に臭いにおいを発生します。こうなると、日常生活に影響しますので、放ってはおけなくなりますね。
カイガラムシを駆除するには
カイガラムシがもっとも駆除が難しいといわれるのは、カイガラムシには薬剤が非常に効きづらいことにあります。それは、カイガラムシが体を蝋のような物質でコーティングをしているため、薬剤が体内まで届かないからです。
そのため、カイガラムシの駆除には2つの方法を合わせて、毎年継続して駆除する必要があります。
1つ目は、物理的駆除です。カイガラムシをブラシやヘラでそぎ落として、物理的に数を減らす方法です。時間はかかりますが、確実に個体数を減らすことが出来ます。カイガラムシの性質上、一度落してしまえば、再び歩いて木に登ってくることはできません。ただし、種類によっては動くことが出来ますので、土中に埋めるなどの処置をするとなおいいでしょう。
ただし、生まれたばかりのカイガラムシは非常に小さくて肉眼では見つけにくいです。よって、完全にゼロにすることは難しいでしょう。
もう一つの方法は薬剤の使用です。上述したようにカイガラムシは通常の殺虫剤は弾かれて効きません。ただし、ある一定の期間だけ殺虫剤が効くときがあります。それは、子どもを産む6月頃です。6月頃になると、カイガラムシの体は非常にやわらかくなります。その時だけは薬剤が効くので、そこをねらって一週間程度あけて2回散布します。殺虫剤は少し濃度を濃くするとより効きが良くなります。その時期を逃すと殺虫剤は聞かなくなりますが、殺虫剤ではなく、カイガラムシの体に塗膜をつくって酸素の供給を止めることができれば、窒息死します。塗膜を作るための薬剤は、石灰硫黄合剤やマシン油を使います。ただし、塗膜は葉にもつくられてしまうので、葉の呼吸を止めても問題ない冬期に行います。
カイガラムシ駆除には時間がかかる
カイガラムシは、ジワジワと、でも確実に子孫を反映していきます。気づいた時には、もう何年も繁栄してしまってからということはよくあります。だからこそ、毎年の薬剤散布により、個体数を徐々に減らして、根気強く駆除をしていく必要があります。幸い石灰硫黄合剤もマシン油も普通物であり、劇物薬物ではないので安全性が高いです。大切な庭木を守るために、カイガラムシの存在を確認した際には、早々に駆除作業を開始しましょう。
庭木への薬剤散布は、使ってもよい薬剤と使ってはいけない薬剤などの区別があります。また、薬剤を散布の際には安全性に充分に配慮しなければいけません。困ったら無理せず、専門業者に依頼しましょう。
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