庭木にとって理想の土壌は、森林を手本にすると分かりやすいです。森林では天然の雨水で自然に木が育っています。人が手を施すことなく木が育っていく理由は理想的な
土壌を有しているからですね。
それでは、森林の土壌はどんな土壌で、なぜ木にとって良いのでしょうか。
森林の木は理想的な土壌により3つのサイクルを経て大きく育っています。その3つのサイクルは以下の通りです。
【森林を育てる3つのサイクル】
➊落葉➔土壌微生物が分解し養分を作る
➋土壌➔土壌微生物の粘性により通気の良い団粒構造
❸根系➔良質土壌を広く深く広がるように形成
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
❶落葉➡土壌微生物が分解し養分を作る
落ち葉や動物の死骸等の有機物は、土壌にいる分解者である微生物により腐ることで分解されます。逆に言えば、土壌の微生物は、落ち葉や死骸等を餌として生きているわけですね。
よって、たくさんの動植物が存在する森林には、微生物にとっての餌がたくさんありますから、土壌中の微生物も増えて活発に活動をしているのです。この微生物の存在が非常に重要になります。
❷土壌➡土壌微生物の粘性により通気の良い団粒構造
森林の土壌では、昆虫・ミミズ・小動物の分泌物、作物の根から排出される分泌物、土壌微生物からの分泌物、カビの菌糸などが接着剤の働きをすることで、団子状の粒子が生成されます。団子状の粒子となった土壌のことを団粒構造といいます。
この団粒構造の土壌は、集まることで小さな粒と大きな粒がくっついているので多いな隙間と小さな隙間が両立しています。小さな隙間には程度な水分が保持され、大きな隙間では不要な水が排水されます。また、隙間には常に空気が行き渡ります。
よって、保水・排水・通気性に優れ、木が健全に育つための条件である、必要な水の確保、不要な水の排除、呼吸に必要な酸素をすべて整えてくれるのです。
❸根系➡良質土壌を広く深く広がるように形成
➊➋の土壌は柔らかく、木の根は広範囲にわたって伸びることができます。広い範囲で伸びた根は多くの栄養分と雨水を吸収できます。深く伸びた根は、真夏の乾燥時期でも水分を確保することができます。
根が広がり、木が元気に生長すると、葉をたくさん茂らせ、落ち葉も多くなり、➊➋❸の好循環サイクルが成立
するのです。
庭木にとって理想の土壌とは
森林の土壌を参考に、庭木のとって健全に生長できる良い土壌とは、土壌微生物が沢山存在することで、通気性の良いホクホクとした団粒構造の土壌で、その結果、深く広く根が広がって健全な生長ができる、ということになります。
このような状態を庭でつくるには、はやり、毎年の施肥により微生物の餌となる油粕などの有機物を土壌に与える方法が最も効果的でしょう。
施肥の有効性については、別のブログ「施肥はなんのためにするのですか?」でも紹介していますので、是非ご参考ください。
庭木の健全な生長に有効な土壌は、人の手を必要としない森林の土壌が理想です。森林の土壌と庭の土壌との違いは、土壌微生物の量です。よって、庭の土壌に土壌微生物を増やすために、毎年の施肥は欠かせません。
ご質問、相談ご希望の方はこちらから!