このおがくずは恐ろしい害虫の仕業です。タマムシやコウモリガ、カミキリムシなど、幹に穴を開けて産卵し、その後幹を食害しながら成虫まで成長するライフサイクルを持つ虫です。
島根県松江市や出雲市では春のこの時期に、あちこちでおがくずが見られますが、決して見逃してはいけない状況です。
この外に出ているおがくずは、害虫が食害した時に排出されたものです。この木くずの下では、幹に丸い穴があいています。まるで鉄砲で打ち抜いたような穴があくことから、上述の害虫をテッポウムシと総称して呼ばれています。
害虫の生態と庭木の辿る道については、別のブログ「庭木の根元に開いた穴は、放っておいて大丈夫ですか?」で詳しく解説していますので、参考にしていただきたいですが、大木でも枯死させるほど恐ろしいので、決して放っておいてはいけません。
ここでは、テッポウムシに食害されたときに対策と、事前の予防策について見ていきましょう。
木くずを発見したら、すぐにするべき事
おがくずの発見は早ければ早いほど、庭木への悪影響を防げます。
害虫は1つの穴に通常1匹います。だいたい春4月頃から食害を続けて、どんどん穴が深く広がっていきます。根元に穴を深く掘られていくわけですから、庭木としてはたまったものではありません。強度は落ちるうえ、通導組織が破壊されて水の移動が妨げられます。
細い庭木であればテッポウムシ1匹で十分枯死に至ります。大木であっても、数年に渡り数匹のテッポウムシに食害された結果、腐朽が進んで、倒木する事例も方々で発生しています。
このようなことから、発見したら少しでも早く対処することをお勧めします。
まずは物理的な方法でテッポウムシの駆除を試みましょう。クリップをのばして針金をつくります。おがくずの中にある穴を探して、針金を奥まで刺します。幼虫に刺されば針金の先に幼虫の体液がつくので、確認できます。
物理的な方法には抵抗がある方や、穴が深くて届かない場合は、化学的な方法で駆除しましょう。揮発性の殺虫剤、例えばスミチオン乳剤をスポイトで穴に注入します。注入した薬剤が穴から排出されてしまわないようにティッシュなどを穴にねじ込み蓋をします。穴の中で揮発して奥まで行きわたると幼虫は駆除されます。
テッポウムシな基本的に根際付近が多いですが、時には地面から1m以上高いところを食害する場合もあります。下におがくずが落ちていたら必ず穴があります。地際に穴が見つからなければ、もっと上の方を確認して見ましょう。また、地中に入った根の部分を食害している場合もあります。少し掘ってみて穴があいていないかを確認して見ましょう。
万一、害虫を駆除できていなければ、数日後に再びおがくずが発生します。おかくずが発生していないことを確認できるまで、駆除をしましょう。
以上が駆除の方法ですが、食害されてしまった傷は治すことができません。穴の中を空洞にして乾燥させることで腐朽が進むのを遅らせましょう。その上で、施肥を行い庭木の体力を向上し、穴の周辺の癒合組織であるカルスが肥大して穴を塞ぐのを手助けしましょう。
それ以前に、今後食害が広がらないように事前の予防策をお勧めします。テッポウムシが好んで食害する庭木は、主に、エゴノキ、モミジなどの落葉樹が多いです。落葉樹の庭木には定期的に予防策を講じるといいでしょう。
テッポウムシへの事前の対策方法
テッポウムシは穿孔して食害する害虫の総称ですので、食害の方法や時期などはさまざまです。よって、すべての穿孔被害を防除するのは難しいですが、ここではテッポウムシの中でも被害にあうと枯死に至りかねないカミキリムシへの対策を解説します。
カミキリムシは春に羽化して成虫となり、あちこち飛び回りながら、庭木の根元を狙って傷をつけ、そこに卵を1つ生みます。卵が産み付けられてしまうと、幼虫が食害を始めます。よって、春先に卵を産み付けられないように対策する必要があります。
その際に有効なのが、カミキリムシが嫌がる臭いを発生させる方法です。マツクイムシ対策でも使用されるスミパインや石灰硫黄合剤などを、食害されやすい庭木の根元に塗布しておきます。
塗布しておくと1~2ヶ月程薬剤の効果が続き、カミキリムシは産卵の場所として相応しくないと判断して、他のところへ移動します。毎年大切な庭木は予防しておくと、食害にある確率は下がります。根元だけでなく、庭木全体に散布するとさらに効果は高まりますが、春の新芽は薬害にあいやすいので、気をつけましょう。
また、最近は、庭木の根元に樹脂フィルムを塗布して、物理的にテッポウムシが産卵できないようにする方法として、商品が発売されています。この方法は1~2年効果が持続するようです。効果のほどはわかりませんが、薬剤を使わずに、より安全性の高い方法だと思います。詳しくは、ウェブでテッポウムシ予防樹脂フィルムと検索してください。ネットで購入が可能です。
庭木の根元でおがくずを発見したら異常事態発生の証拠です。すぐさま大切な庭木を守る手段を講じましょう。そして、年々越冬しやすくなっているのか、テッポウムシの被害は拡大しています。近年多い倒木による事故も、テッポウムシの食害痕が腐朽して徐々に根元を脆弱化させた結果の結末も多く見らえます。よって、おがくずの発見は一大事です。むしろ、根元は常に見えるようにして庭木の状況が分かるように気をつけることも重要です。できれば、毎年予防して、庭木に被害が及ばないように事前の策を講じておくの一番いいですね。
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