サンゴジュの葉に無数の直径1センチ程度の穴が開いています。今年出たばかりのやわらかい新芽が特に穴だらけになっています。写真は島根県出雲市内から5月にいただいた相談です。
これは病気ではなく幼虫による食害痕です。幼虫なサンゴジュハムシといいます。毎年のように穴だらけになっているサンゴジュを見かけますが、サンゴジュハムシとはどんな虫でしょうか。詳しく見ていきましょう。
サンゴジュハムシとは
サンゴジュハムシはサンゴジュ以外にガマズミにも発生します。年に1回発生し卵で越冬します。4~5月頃に幼虫が葉を食害して、その後、樹を降りて地中で蛹となります。6月頃になると羽化して成虫になり葉を食害しながら夏を過ごします。10月には新梢をかじり、その中に卵塊を産み付けます。翌年春になると新葉の展開とともに加害がはじまり、葉脈を残して葉肉が食害されるため、短期間で丸坊主になります。
サンゴジュハムシの被害とは
サンゴジュは非常に強健な樹木です。生長も早く、かつては工場の緑化木として全国で採用されてきました。そのような木なので1度や2度丸坊主になっても、再び芽を出してくれます。しかし、毎年繰り返して食害に合うと、光合成量が減少して、徐々に衰退してしまいます。また、食害されたときの見た目は非常に悪く、庭木としては美観を損ねてしまいます。
サンゴジュハムシは一度に大量発生するので、早めの対処が必要です。また、毎年発生するので、一度発生を断って、翌年に再び発生するのを阻止しておきましょう。
サンゴジュハムシ被害への対処
冬期に卵塊を探し出して、枝ごと切除する方法があります。しかし、かなり小さな卵塊を見つけ出すのは困難で、根気のいる作業です。また、幼虫や成虫を見つけたら捕殺して、少しでも被害を少なくする方法もあります。
効率的なのは、幼虫発生時期に登録のある殺虫剤を散布します。重要なのは、幼虫発生期が限られているので、成虫となって飛び立ってから薬剤散布しても意味がないということです。サンゴジュハムシは、食害を始めると穴だらけの葉が非常に目立ちます。食害を見つけたら、なるべく早く薬剤散布を行う事で、効果を高めることができます。
【参考資料】
花木・鑑賞緑化樹木の病害虫診断図鑑 第Ⅱ巻 害虫編 竹内浩二 近岡一郎 堀江博道
一般財団法人農林産業研究所 2020.9.11
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