駐車場のコンクリート土間を見たことがありますか?よく注目して見ると、平らで頑丈なコンクリートの表面に、細い線や溝が入っているのが目に入ります。この線や溝は「目地(めじ)」と呼ばれ、駐車場のコンクリート施工において非常に重要な役割を果たしています。いったい何のために「目地」がわざわざ作られているのでしょうか。目地について解説していきましょう。
目地の役割
- ひび割れ防止 目地は、予め広い面積のコンクリートをいくつかに区分しておくために切れ目を入れたものです。ケーキに包丁を入れて小分けにするようなイメージです。なぜならば、コンクリートは性質上、時間が経つと収縮し、ひび割れが生じることがあるからです。目地は、このひび割れをコントロールし、目立たない部分に誘導するために設けられます。これにより、大きなひび割れが発生するのを防ぎ、コンクリートの寿命を延ばします。つまり、目地がないと、想定していない場所に突然と亀裂が入り、コンクリートの強度が落ちてしまいやすくなるということです。コンクリートが非常に固いがために、逆に柔軟性を欠くという弱点を目地で回避しようというものですね。とはいえ、目地があればコンクリートのひび割れは起きないという意味ではありませんので、要注意です。目地があれば、目地の部分がひび割れの場所になるという意味です。ひび割れを起こさないコンクリートはそもそも作れません。目地によりひび割れの場所を特定しておけば、想定外のところにひび割れを起こす可能性が減少するということですので、このコンクリート独特の性質を理解しておきましょう。
2.動きの吸収 コンクリート土間は地面の動きや気温の変化によって膨張したり収縮したりすることを上述した通りですが、その際に、目地がその動きを吸収し、周囲の構造物にぶつかって破損するのを防ぐ役割もあります。ひび割れ防止の役割は、コンクリートの表面に起きるひび割れの回避でしたが、ここでは、周囲にある構造物との衝突の回避です。とはいえコンクリート土間が動いているなんて想像しづらいと思います。実際に目に見えて動いているわけではないからです。本の僅か数ミリ程度の話です。しかし、数ミリでもぶつかり合うと壊れてしまいます。逆に言えば、ほんの数ミリの目地を入れることで、これを回避することができます。
3.美観の向上 規則的に配置された目地は、コンクリート土間の見た目を美しく整えます。デザインの一部としても活用され、駐車場全体の印象を良くする効果があります。コンクリートの性質上、どうしても目地を入れなければいけないのであれば、その目地を利用して美しく仕上げようということです。目地の幅を工夫して、人工芝や砂利で化粧するのもいいでしょう。レンガを埋め込んでもいいでしょう。目地は、コンクリートが完全に切れていればそれでいい訳で、その役割を果たせば、意匠の工夫はいくらでも出来ます。直線のみならず、曲線も可能なのです。
目地の種類
目地にはいくつかの種類があります。それぞれの特徴と用途を見てみましょう。
- 伸縮目地 コンクリートが膨張や収縮する際の動きを吸収するための目地です。ゴムや樹脂などの柔軟な素材が使用されることが多いです。
- 誘発目地 コンクリートのひび割れが自然に起こる箇所をあらかじめ決めておく目地です。コンクリートの収縮を予測し、その動きをコントロールするために設けられます。
- 分割目地 大きなコンクリート土間を適当なサイズに分割するための目地です。これにより、施工や維持管理がしやすくなります。
目地の設置方法
目地は、コンクリートを打設する際にあらかじめ計画的に配置されます。設置方法には、以下のようなものがあります。
- 型枠を使用 コンクリートを流し込む前に型枠を設置し、コンクリートが固まった後に型枠を取り外す方法です。
- カッティング コンクリートが固まり始めた後に専用のカッターで目地を切る方法です。
目地設置の注意点
駐車場にコンクリート土間を打設する際に、目地が非常に重要であることは説明した通りです。しかし、目地がありさえすればそれでいいのかというと、そうではありません。目地の役割をしっかりと果たせる目地の設置の仕方に則っていなければいけないのです。目地のつもりでも、目地の役割を果たさないような目地ではコンクリートの問題解決にはなりません。特に近年は競ったようにお洒落なコンクリート目地の駐車場が増えています。デザイン性を追求することは美しい街並みに近づく意味で非常に良いことです。ただし、デザイン性が高まるほど、目地をしっかりと理解して、適切な目地の施工をすることが求められますので、この点を施工計画時には考慮しておかなければなりません。そこで、駐車場の目地を設置する上での注意点を説明しましょう。
目地の計画
- 目地の配置計画
- 間隔の設定:一般的に、目地の間隔はコンクリートの厚さの30倍程度が目安とされています。例えば、コンクリートの厚さが10cmであれば、目地の間隔は約3mです。
- 正方形や長方形の配置:目地はできるだけ正方形や長方形になるように配置します。細長い形状にするとひび割れが生じやすくなります。
- 目地の種類の選択
- 伸縮目地:膨張や収縮を吸収するため、ゴムやシール材を使用します。
- 誘発目地:自然なひび割れを誘導するために、浅い切れ込みを入れます。
- 分割目地:大規模なコンクリート土間を適当なサイズに分割します。
- 目地の深さと幅
- 深さ:目地の深さはコンクリートの厚さの1/4程度が理想です。例えば、10cmの厚さであれば2.5cmの深さです。
- 幅:目地の幅は使用するシール材やゴム材により異なりますが、一般的には1cmから2cmです。デザイン的な意味合いで目地の中に化粧を施す場合は5㎝から10㎝の幅にすることもあります。
目地の施工方法
- 目地のマーキング
- コンクリートを打設する前に、設計図に基づいて目地の位置を地面にマーキングします。これにより、正確な位置に目地を設置することができます。
- 型枠の設置
- 伸縮目地用型枠:ゴムやシール材を挟むための型枠を設置します。これにより、コンクリートが固まった後に伸縮目地が形成されます。
- 誘発目地用型枠:コンクリートを流し込んだ後、浅い切れ込みを入れるためのガイドとなる型枠を設置します。
- コンクリートの打設
- マーキングや型枠に従ってコンクリートを均一に打設します。この際、目地の位置に注意しながら施工します。
- カッティング(誘発目地の場合)
- コンクリートが固まり始めたら、専用のコンクリートカッターで目地を切ります。タイミングはコンクリートがまだ若干柔らかい状態で行うことが重要です。
- シール材の充填(伸縮目地の場合)
- 伸縮目地の場合は、コンクリートが完全に固まった後に、目地にゴムやシール材を充填します。これにより、コンクリートの動きを吸収する目地が完成します。
施工後の注意点
- 目地の保護
- 目地が設置された後、特にシール材が充填された直後は、目地を保護するために過度の荷重や衝撃を避けるようにします。
- 定期的なメンテナンス
- コンクリート目地は定期的にチェックし、ひび割れや劣化が見られた場合は早めに修復します。特にシール材は経年劣化するため、必要に応じて再充填を行います。
駐車場のコンクリート土間に設けられる目地は、ひび割れの防止や動きの吸収、美観の向上といった重要な役割を果たしています。目地の種類や設置方法を理解することで、コンクリート土間の施工やメンテナンスがよりスムーズに行えるようになります。
松江市や出雲市でもデザイン的な駐車場をよく見かけるようになりました。計画する際や、コンクリート施工を依頼する際には、ぜひこの目地の役割を念頭に置いてみてください。駐車場の耐久性と美しさを保つために、目地は欠かせない要素なのです。
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