植物を育てるためには、適切な土壌改善が欠かせません。しかし、どのようにして庭の土壌を改善すれば良いのでしょうか?住宅地に最も多い土壌の状態は固結土です。住宅地の造成は建物を建てるために充分な固さが必要です。固さが足りないと後々住宅が傾いてしまうため、ある一定以上の固さがないと法的に問題があります。よって、住宅地は基本的に固結土であるのが普通なのです。また、庭木を植える時に固結土を解してやわらかくしても、雨が降るたびに地が固まり、踏圧などによって、徐々に土壌は固くなるのが自然です。よって、時間とともに固結土に戻ってしまいます。
写真は、庭木が枯れています。植え替えても枯れてしまうこと、地面に苔が自然に繁茂していることから、土壌が固結していると考えられます。固結土は必然と水はけも悪くなります。土壌は万年酸素不足状態となり、そのために根が生長できなくまります。庭木にとって理想の土壌については、別のブログ「庭木にはどんな土がよいのですか?」をご参考ください。
ここでは、固結土に庭木を植栽する時の最適な土壌改良方法を解説しましょう。
固結土の改善方法
固結土は酸素欠乏を引き起こすため庭木の生長を妨げ枯損の原因になります。よって、固結土壌の改良は通気性の確保が最も重要となります。通気性を確保するためには、通気性が妨げられない土壌改良材を混入する必要があります。
ここで、土壌改良材について説明します。土壌は土の事ですが、土壌改良材は、土壌に混ぜることによって土壌の性質をよりよい方向に変化させる資材のことです。 土壌改良材はたくさんの種類が販売されています。腐葉土、バーク堆肥、ピートモス、牛ふん堆肥、バーミキュライト、ゼオライト、パーライトなどです。
次に、固結土についてですが、固結土は固くて酸素が非常に少ない土です。例えば粘土質の土は細かな粉が凝縮して固まっているため、土と土の間に隙間がほとんどなく、当然空気もほとんどない状態です。このような土は、一度スコップで耕して解しても、再び固結して酸素の少ない土壌となります。酸素欠乏の土壌に庭木が弱る原因となる土の状態の1つです。庭木が弱る原因となる土壌については、別のブログ「庭木が弱る原因となる土はどんな状態ですか?」をご参考ください。
固結土を改善するには、土壌改良材の力を利用するのが最も一般的です。では、どのような土壌改良材を使用するとよいでしょうか。土壌改良材は、それぞれ役割があります。よって、今回は固結土の改良に適した土壌改良材を使用する必要があります。では、土壌改良材の役割について解説しましょう。
土壌改良材の役割
土壌には、大きく分けて物理性、化学性、生物性の3つの性質があります。この3つの性質が庭木の生育に適していれば、それは良好な土壌として庭木が健全に生育します。この3つのうちいずれかが欠けていると庭木は健全に生育することが難しくなります。それぞれは以下のような特性があります。
土壌の物理性・・保水、排水、通気の程度を表します
土壌の化学性・・酸度や養分の化学的吸着力のことを表します
土壌の生物性・・微生物の活発さのことを表します
今回の固結土はこの性質の内、土壌の物理性に問題があったことになります。土壌改良材は3つの性質の内、どの性質を改善する性質があるのかが決まっています。よって、今回は固結土の改善に効果のある土壌改良材を選択する必要があります。 それでは、固結土の改善に効果のある土壌改良材があるのはどんな改良材なのでしょうか。
固結土に効果のある土壌改良材
固結土の改善に効果のある土壌改良材は、細かな穴が沢山開いていて、粒が踏圧により潰れてしまわない固さをもつものが望ましいです。このような性質であれば通気性を回復するからです。いくつか固結土の改善に使われる主な土壌改良材を挙げてみましょう。
・木炭
・黒曜石パーライト
・ゼオライト
・珪藻土焼成粒
この3つは通気性改善に非常によく使われる改良土です。この他、川砂なども使われます。川砂は手に入りやすい資材です。通気性の回復度合いによって使い分けるとよいですが、少し良くしたい程度であれば川砂で十分でしょう。上記の土壌改良材は、あまりなじみのない方も多いと思いますので、それぞれについて解説していきましょう。
木炭は、無機成分やカルシウム・マグネシウムなどのミネラル成分などがバランスよく含まれいます。また、炭の持つ多孔質構造が、有益な微生物の増殖を促す場となります。特に木炭など広葉樹系の精錬炭素の特長はアルカリ性です。この木炭で土壌の痩せ過剰な酸化を抑止、また炭の持つ土壌PHの緩衝作用が、農作物や植物の活性化を促す触媒として効果的に作用します。さらに、炭は微細な多孔質構造で大きな表面積(木炭1gあたり平均約200㎡~約400㎡前後)を持つことから、吸着性・保水性・保肥性・透水性・通気性など、炭にはさまざまな有効作用があります。
黒曜石パーライトは、やや丸みを帯びており、ツルツルとした見た目が特徴的です。水分量が少なく透水性に優れており、土に混ぜ込むと土壌の水はけを改善してくれます。黒曜石パーライトは排水性に優れています。
ゼオライトは、その骨格構造に由来する細孔による分子ふるい効果に加え、イオン交換能や触媒能、吸着能などの特性を持っていることが特徴です。そのため、脱臭、水質の改善、土壌の改質、家畜の整腸作用など、様々な効果が期待できます。
珪藻土焼成粒は、珪藻土を均―な粒状にし、1000℃以上の高温で焼成したセラミックス土壌改良資材です。水分を含んで膨潤したり、破壊したりすることがありません。踏圧による粉化もほとんど発生しません。従って物性の変化がなく、初期の改良効果を長期間にわたり持続します。無数の微細気孔は植物にとって必要な空気、水、肥料を同時に貯えると共に優れた透水性を持ち、また有効な菌体の増殖を促進させる効果も大きく植栽地盤の物理的環境を理想的に改良します。セラミックス化した硬質粒子の体積の70%は微細な気孔です。粒子内に保水し同時に硬質粗大粒子として十分な間隙を持ち通気、透水を確保します。
最適な土壌改良材を見つける
このように、固結土に効果のある土壌改良材はいくつかあり、それぞれに商品が販売されています。それでは、この中でどの土壌改良材を選択するといいでしょうか。それについては、改良したい土壌がどんな固結土であるかによって変わってきます。また、物理性のみならず、生物性も改良したいとか、化学性も改良したいとか、あわせて改良したい性質があれば、いくつかの土壌改良材を混合して使うこともできます。この点については、ある程度の専門知識が必要になりますので、専門会社に相談するのがいいでしょう。
今回は、物理性の最も強力な改良方法について解説します。通気性を改善して、さらに排水性及び保水性を兼ねて改良する場合の最強の改良材は、珪藻土焼成粒となります。例えば水はけの悪い粘土質の土壌においても珪藻土焼成粒で改良することで健全に生育する可能性は高くなります。逆に言えば、珪藻土焼成粒で生育できなければ、他の土壌改良土での通気性改良は難しいので、物理的に暗渠排水を施工することになります。
このように、通気性が悪く排水性が悪い土壌を改良する最強の土壌改良は珪藻土焼成粒ですが、単に土壌に混ぜるだけではその効果を最大限に引き出すことはできません。そこで、筒状の装置を作って、その効果を最大限発揮する方法を解説します。この方法は島根県松江市や出雲市の非常に排水性の悪い土壌においても、庭木の健全な生育や治療に使って高い成果を挙げていますので、自信をもってお勧めします。
珪藻土焼成粒の効果を最大限発揮する方法
珪藻土焼成粒の効果を最大限発揮する方法は、下図のように有孔管を使用して根鉢の下部分と地上をつなげる工法です。これにより、地中に溜まった停滞水が、地上に毛管現象により吸い上げられて水が移動します。移動すると根腐れが起きづらくなります。また、同時に地上の空気が地中深くに送られます。よって、通気性も排水性も改善されます。さらい、珪藻土焼成粒はそれ自体に沢山の微細な穴が沢山有りているため、保水性も非常に高くなります。通気性が良く、排水も良好、そして保水性もよい状況を作り出すことができることで、土壌の物理性は完璧に近い状態になるでしょう。これは、まさに、森林における土壌の団粒構造を人工的に作り出したことになります。屋上緑化にも多く使われている珪藻土焼成粒は、物理性に非常に優れた土壌改良材と言えます。
この工法は、庭木の大きさや土壌の排水性の度合いによって、投入する量を変える必要があります。一つの目安として一覧表も下に示していますので、ご参考ください。
なお、土壌の物理性の改良は解説してきました通りですが、これに加えて化学性の向上と生物性の向上を計画するのであれば、さらに他の土壌改良材を混入する必要があります。珪藻土焼成粒では、すべてを向上することはできませんので、注意してください。庭木の生長は土壌の環境に非常に左右されます。大切な庭木を長く健全に育てるために、土壌に適切な処置を施しましょう。
固結土は生育不要に非常によく見られる原因の一つです。今回は土壌改良によって固結土を庭木が育つ場所に変える方法を解説しました。他にも庭木が育たない原因をもつ土があります。それぞれの原因によって対策も変わってきます。今回の方法は、あくまでも固結土の酸素欠乏による枯損を改善する方法です。重要なのは、何が問題であるかを見極めることです。そのためには専門的知識が必要となりますので、困った場合は最寄りの専門家に相談しましょう。
庭木の樹勢診断について詳しくは【タケダ樹木クリニック】までお問い合わせください。