庭に芝生を敷きたい場合、どの種類の芝生がいいですか?

 天然の芝生は、手入れをするほど美しく、見ているだけで心が晴れます。寝転がったり、ピクニックみたいにお弁当を食べたりすると思いでも一層心に残りますね。島根県松江市や出雲市でも芝生の広場は人気で、最近では小学校の校庭が芝生化されているのも珍しくはなくなりました。
 さて、その芝生ですが、実は沢山の種類があります。もっと言えば、年々研究が進み、より生長の遅い芝生や、年中緑になるような芝生などが特許商品として発売されています。しかし、手ごろに自宅の庭で楽しみたいのであれば、ある程度種類は決まってきます。そして、芝生の育成に重要なのは土壌になります。土壌については、別のブログ「プロの芝生の貼り方を知りたい!」をご覧ください。また、芝生の手入れの方法や内容は別のブログ「芝生の庭にした場合の手入れは大変ですか?」をご覧ください。
 ここでは、芝生を選ぶ際の種類と特徴について見てみましょう。

育てやすいのはやっぱり日本芝

芝生の種類には大きく分けて、古くから日本に育成している日本芝と、西洋から入ってきた西洋芝があります。
 日本芝は別名夏芝と呼ばれるように、夏場は緑色ですが、冬になると葉が枯れ、休眠状態となります。季節としては5月前後から葉を茂らせ、11月頃から茶色くなります。よって、1年間の半分くらいが緑色の状態と考えたらよいと思います。しかし、近年は品種改良の技術革新によって、さらに1か月、さらに2ヶ月緑色の期間が長いものが発売されてきています。しかし、改良された芝生は生産量が限られており、特許などの規制もあるため、どうしても高額になってきます。特別な場所であれば別ですが、通常のご自宅の庭であれば、一般的に出回っている日本芝で十分満足できると思います。

冬の日本芝

 その日本芝ですが、代表的な種類として野芝(ノシバ)と高麗芝(コウライシバ)があります。また、コウライシバを改良した姫高麗芝(ヒメコウライシバ)があります。
 それぞれについての違いは、見た目と踏圧に対する強さが違います。

 ノシバは、河川敷などの土手に崩れないように敷かれてることが多くあります。また、ゴルフ場のラフの部分、つまり、コースの外側のフサフサとした芝生の部分に使われています。踏圧にも乾燥に強くて、芝生の中では最強です。葉の幅は広く平均5㎜程度はあります。また、高さも10㎝以上に伸びるので、遠目ではモリモリとして感じのイメージです。しかし、芝刈りをした時には、美しい緑のじゅうたんに見えます。使うなら、遠目で広く見る場所で、なるべく手間をかけずに放っておきたい場所にいいでしょう。

 コウライシバは、ノシバよりも葉幅は狭く、平均3mm程度です。その分細い葉が綺麗に生えそろって、より細かくて美しく見えます。かつては芝生広場と言えば、このコウライシバが主流でした。ゴルフ場ではフェアウェーに使われる芝生です。ただし、最強のノシバに比べると、少し乾燥や踏圧に劣りますが、とはいえ公園などの公共広場では最もよく使われる芝生です。定期的なメンテナンスをしておけば十分に美しい姿を保てます。ご自宅の庭や、グラウンド等での活用に適しています。

ゴルフ場のフェアウェーとラフ


 
ヒメコウライシバは、コウライシバよりもさらに葉幅が狭くなり、平均2mm程度です。性質はコウライシバと大方変わりませんが、見た目はさらに繊細で細かいため、より美しい緑のじゅうたんができます。日本芝の中では最も美しいと言ってもいいでしょう。そのため、近年ホームセンターなどで販売されている芝生は、このヒメコウライシバであることが多くなりました。ご自宅はもちろん、広場や駐車場など、近距離で芝生を見る機会の多いところには抜群の見た目を発揮するでしょう。

綺麗に刈り込まれた緑のじゅうたん

特別なところなら西洋芝

 日本芝に比べて西洋芝は色々注意点があります。そもそも、日本の気候で育ってきたわけではなく、西洋の気候で育つ芝生です。環境が違うので、育て方にも注意が必要なわけです。
 西洋芝にはほぼ1年中緑色のものや冬場に緑の物があります。冬芝と呼ばれるのも、冬に緑色している特徴があるからです。
 西洋芝で思い出すのは、世界的に有名な英国で開催されるテニス大会ウィングルドンです。ウィングルドンの芝生は西洋芝の1種です。西洋芝は種まきをして増やすことが容易にできるので、大会前に大量の種を蒔いて、当日を迎えるのです。踏圧に決して強いわけではないですが、日本芝に比べて圧倒的に回復スピードが速く、すぐに新しい芽が出てきます。このように早い回復のため、スポーツターフとして競技場にもよく使われています。
 西洋の比較的湿度の低い環境に適しているため、日本の多湿には非常に弱いです。その上、生長スピードが速いため、芝刈りの回数をかなり多くして、常に風通しの良い低めの高さにしておかなければ病気にかかりやすくなります。さらに、生長が早いので、それだけ養分を必要とします。栄養分を補給する回数も日本芝よりも多くなります。夏場には乾燥状態が続きます。生長が早い分乾燥が続くと耐えられません。水を切らさないように、気を使う必要がります。
 このように、手間のかかる西洋芝ですが、手入れの行き届いた西洋芝は一度見ると忘れられないくらい美しい芝生です。ゴルフ場では、グリーンに使われている芝生に西洋芝が多いです。土足で歩くのが申し訳ないくらい綺麗なグリーンをみると、西洋芝の美しさがお分かりになるでしょう。
 西洋芝にはいくつも種類があり、場所や用途によって使い分ける必要がありますが、ここぞといった重要な場所に西洋芝を活用するといいでしょう。玄関前の重要な場所や、屋上の一角など、手間をかけても美しく演出したい場所に活用しましょう。

用途や目的によって芝生を選択する

 芝生は日本芝と西洋芝がありますが、さらに、それぞれに沢山の種類の芝生があります。ここでは代表的な芝生の意をご紹介しましたが、重要なのは、芝生を使用する目的です。目的や用途によって、芝生の種類を選ぶことが、芝生をの良さを最大限に活用するコツです。一般的にご自宅で楽しむならば、日本芝が最適です。ご紹介した芝生別の特長を一覧にしましたので、参考にして下さい。

種類見た目管理価格病気
日本芝ノシバ
日本芝コウライシバ
日本芝ヒメコウライシバ
西洋芝各種

 しかし、ここは特別な用途や目的があるという場合は、そこにあった芝生を専門業者に相談するのが一番良いでしょう。もちろんwebでも沢山の情報が出ていますが、実際は環境や土壌に生長が左右されますので、注意が必要です。
 芝生に共通した注意点としては、光と水がありますので、この部分だけ触れておきます。この2つを失敗したら芝生は育ちませんので、必ず芝生を敷く前に確認しておきましょう。

芝生の生育を左右する事前の確認事項2つ

 芝生を敷く前に必ず確認しておかなければならない点を2つご紹介します。1つは、光の量です。芝生は最低光量をだいたい5時間、つまり日中の半分以上は直射日光が当たっている必要があります。もし、光の量が足らない場所に敷いた場合、徐々に新芽が減っていき、穴があいてしまいます。そこに日陰に強い雑草が次々生えてきて、芝生への日光をますます妨げてしまいます。芝生の種類によっても違いはありますが、日本芝で言えば、最低5時間は直射日光が当たる場所であることを確認しましょう。
 2つ目は水です。水と言っても芝生に与える水ではなくて、逆に土中の排水状況という意味です。つまり、雨が降っても、すぐに排水される土壌が最も適しています。具体的には粘土のような非常に排水の悪い土壌に芝生を敷くと、じめじめした環境から菌が発生して病菌になったり、十分な新芽が出せず、逆に苔など湿気を好む植物が繁茂し、ますます芝生は衰退していきます。排水をよくするには、砂を下地に敷くなどの工夫が必要です。土中の排水が悪い場合は、特に気をつけて排水対策を講じてから芝生を敷きましょう。


 天然の芝生は本当に美しく、憧れの存在でもあり、魅力的な植物です。しかし、天然であるからこその性質があり、知った上でメンテナンスをする必要があります。そのため、予めどのような性質があるのかについて知っておくことは、芝生を長い間大切に生長させることに役立ちます。芝生のお庭がいつまでも美しく保つ切っ掛けとなりましたら幸いです。

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