庭木を植えたいけど、どんどん大きくなると困る。できるだけ大きくならない庭木があれば、それがいい。このようなご相談は非常に多く聞きます。大きくならない庭木は存在するのでしょうか。盆栽のようにずっと形を変えない庭木はどのような種類の木なのでしょうか。大きくならない庭木について解説していきましょう。
庭木の生長スピードは何で決まる?
庭木の生長スピードは、そもそも何で決まるのでしょうか。それは、育った環境に適するための戦略によって決まります。庭木には様々な種類がありますが、それぞれが、森の中や川の近くであったり、寒いところや暖かいところであったりと、生まれ育った環境が違います。例えば常緑樹は温暖な地方で育った庭木ですし、針葉樹は寒冷な地方で育った庭木です。言ってみれば庭木の故郷のようなところがそれぞれ違います。さらに、常緑樹の中でも種類によって、日陰の場所に適して育ったり、日向の場所に適したりと、それぞれ固有の場所を得意として適して来たことで、子孫が現在にも反映できているのです。
その中で、より大きく育って他の植物よりも早いスピードで生長することによって太陽光を獲得するという戦略を取った庭木は、当然生長が早くなります。逆に、多少日陰になっても体力を高く生長することに使うのではなく、低くてもしっかりとして枝葉をつけて少ない光を効率的に獲得することを戦略とした庭木は生長が遅くなります。このようにして、生長のスピードは庭木それぞれが、どのような環境を故郷にしていて、そこでどのような戦略で子孫を反映してきたかによって違うのです。
例えば、クスノキという樹があります。この樹は種から芽が出て、まだ小さく背の低い時期には陰樹として育ちます。つまり、日陰でも効率よく日光をエネルギーに変えることにより育つことができる性質です。しかし、ある程度高くなると、徐々に陽樹の性質に代わります。陽樹とは、日光をたくさん得ることでより生き生きと育つ性質です。陽樹と陰樹について、言い換えれば、陰樹は日陰で育つことができますが、日向で直射日光があたると葉が焼けてしまいやすい樹です。陽樹は日向で直射日光を獲得して育ちますが、日陰では元気がなくなる樹です。このような大きな樹の性質の違いを、クスノキは幼少期と成熟期において変化することで、森の中で小さなうちには陰樹として生き延び、背が高くなると陽樹として森の主役に躍り出る戦略を編み出しているのです。
生長の遅い庭木はどんな木?
生長の遅い庭木は、生長を遅くする戦略を取っている樹ということになります。そもそも、高くなって太陽光を取りある競争を選ばなかった庭木が、生長が遅く、そして大きくならない庭木ということです。となると10mを超すような高木と言われる樹は対象外となります。5m程度の中木や、1m程度の低木が対象と言えます。高木、中木、低木のサイズについては様々な定義がありますので、ここでの呼び方はオリジナルです。
ここで、高木と中木と低木は単に木の大きさ別に並べたのものですが、いわゆる想像する樹形の木は1本の幹が真っすぐ伸びて、上部に枝と葉が茂る姿だと思います。これは、高木に多い樹形です。1本の幹が早く上に上に伸びていくためには、真っすぐ空に向かって伸びた方が効率的です。大きな樹ほどこのような姿になるわけです。しかし、低木になると1本の幹というよりも、たくさんの枝が下から生えるような姿となり、それも真っすぐではなく四方八方に広がるようにして、全体として丸い形になります。例えば、ヒラドツツジは、ツツジ科の常緑低木ですが、樹高は1~2mと低く、当然生長は遅くなります。しかし、樹形は四方八方に広がるため、意匠上植える場所は限定されます。なかなかメインツリーとしての役割は果たしにくいでしょう。
もし、メインツリーとして生長の遅い庭木を考えるのであれば、常緑樹および落葉樹では以下の庭木が、中木もしくは中木と高木の間くらいの性質と言えるでしょう。ただし、樹高は図鑑にあるような生息地での樹高ではなくて、庭木として庭で生長した場合の樹高を独自で想定した物です。その他の凡例については下の表に記します。
庭木の生長をコントロールする方法
中木として例えばサザンカがありますが、図鑑などではサザンカは2~6mくらいの樹高と記されていますが、山間部で自然に生長したサザンカの中には10m近くの大きなものも存在します。しかし、通常庭木としてサザンカを剪定しながら生長する場合には、2mとか3mで長期にわたって姿を保つことができます。逆に上述したクスノキは同じ常緑樹ですが、3m程度に剪定をしたとしても、幹がどんどん太くなってしまい、低い状態で美しい樹形を保つのは困難です。このようにサザンカは、生長が遅いことで、剪定によりある程度低い樹形にコントロールできる庭木であると言えます。
つまり、中木であっても、低木であっても、放っておくとやはり巨大化しますが、適切な剪定をすることによって、低い樹形を保つことができるのです。
よって、庭木は剪定によって生長をある程度コントールできます。まずは、庭木にふさわしい樹種を選定し、そして、剪定により生長をコントロールすることで、大きくなりすぎない適した庭木を保つことができるのです。
また少し上級の方法ですが、定期的に根を切断して栄養をコントロールすると生長を抑制できます。盆栽が小さな鉢の中で育てているように、根が広がるとその分地上部も大きくなるので、根の生長を抑えることで地上部の生長もコントロールする仕組みです。ただし、根を切りすぎたり、適切ではない季節にすると枯死の可能性があるので気をつけましょう。また、栄養をコントロールする意味で施肥を与えないというのはよろしくありません。生長をコントロールするのと衰退するのとでは大きく違います。ダイエットし過ぎて体調を崩してしまっては意味がありません。あくまでも元気な姿で生長をコントロールするのが良いでしょう。
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